お芝居つれづれときどき音楽

歌舞伎のこと、音楽のこと、いろんなこと、気の向くままによしなしごとを。

10月マハーバーラタ戦記@歌舞伎座昼

ネタバレしないと書けないのでこちらに。感想というか感情。登場人物に妙に感情移入してしまった。すばらしい舞台でした。
新作なのでネタバレ知らずに見た方が楽しいです。まだ見てない方はそっ閉じで。


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冒頭からきらきらと豪華な絵面。見た目の説得力があります。
物語は全体的に真面目トーンで進むのですが、ところどころ笑えるシーンも。アルジュナがカルナも「怪しい」って言って、「あの目…お前はどうだと問うような…そして色気がある…」って言いだしたのは一体!?聞き間違えじゃないですね?色気?どうした弟?

2回目に見たときには双子二人の声のシンクロっぷりが上がっていて、1か所完全に一人で言ったみたいに聞こえる箇所が。佇まい、空気感も双子らしさが上がっていた。あと、種之助さんかな、武芸大会の前に母親を心配してるときの「母上」が本当に優しい声で、実の母ではないがクシャナ姫を母と心から慕っている様子が表れていた。どきりとした。

あ、片岡の亀蔵さんと坂東の亀蔵さんが同じ場面にいるところがあり、ダブル!となんだかうれしい(笑)。あと彦三郎さんと七之助さんの組み合わせも珍しいような?

弟ドウフシャサナと双子末っ子サハデバ

片岡の亀蔵さんはこういう一癖ある悪役がやはり上手。ドウフシャサナの「俺と同じように兄弟を支えるだけの存在と思っていたのに」という台詞に驚き。彼が、自分の凡庸さを嘆いていて優秀なヅルヨウダという姉を支えるだけの存在だと思っていたのが意外で。仙人クリシュナ曰く、凡庸な100人の兄弟の中では突出した二人だったのだから決して凡庸ではなかったはず。対して、あまり目立たない優しいだけの双子と思っていた末っ子のサハデバの最後の輝き方。「何かある、何もない、それを決めるのは己自身だ」と言うサハデバ。そんなふうには思えなかったドウフシャサナの悲哀が強まる。
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カルナ以外の五王子も物語があり、敵側のズルヨウダは勿論、ドウフシャサナの物語もきちんと描いているのが心に残る。双子兄のエピソードはあまりなかったけど、萬太郎さんは二役に登場してしまうから致し方ない。あとユリシュナのお兄ちゃんはイカサマ賭博にのめりこんでしまって舞台上ではいいとこなしですが(^^;)そのあとちゃんといい治世になったらしいからね、面目躍如。

 

鶴妖朶(ズルヨウダ)と迦楼奈(カルナ)、アルジュラ


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何よりも、ズルヨウダの七之助さん、素晴らしかったです。悪い顔を見せたり隠したり、最初は迷いがないのに、徐々に気持ちが揺れたりの心情がひしひしと。イカサマ賭博の「腹が違う兄弟は賭けるのだね!」と相手を追い込む凄み。そして特に最後の恨みたっぷりの台詞がたまらなくいい。階段落ちも、衝撃的なラストでした。ビーマとの戦いのとき、2回目見たときには海老反りが2回あった。増やしたのか、初回見逃したのかな?
ズルヨウダはヒールだし頭が良くて強いのだけど、孤独で弱い人でした。周囲に人はたくさんいるのに孤独で…。カルナだけが唯一心が近しいと感じた相手。
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けれどカルナとズルヨウダの気持ちがお互い逆の方向へ変わり、すれ違ってしまうのが悲しい。カルナが最初の心のままだったら開戦を諌めて止めたかもしれない。ズルヨウダは止めてほしくて待っていたのかもしれない。

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そしたら和睦して二人とも生きていたかもしれない。カルナは誓いを守るために耳飾りを手放したことで最強の武器を与えられ、力を持ったことで心が変わってしまった。実の母の言葉も振り切るほどに。ならば誓いを守らなければよかったのか?どうなのか?と答えが見つかりません。
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ズルヨウダが心を動かされるほどのカルナのまっすぐさ、ひた向きさは、TVなどでも真面目な印象の強い菊之助さんにぴったりだ。祈りを捧げるシーンは思わず息をのむ。
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いざ戦いとなったときの勇壮さも美しい。カルナが金色でアルジュラが銀色で、剣もその色で殺陣が煌びやか。二人の殺陣も激しくて見応えがある。戦いを好んだアルジュラが、血の繋がった者どうし殺しあうことに気付き、開戦に及び腰になるのはなんとも考えさせられる。そしてカルナの最期はほんとうにかなしい。ただただ、父親の期待に応えたかった。そんな運命を背負わされてしまった。そして友も裏切りたくはなかった。兄を殺せないというアルジュラの肉親の情も悲しい。アルジュラが当初よりも柔軟な考えの持ち主になっていて、和睦できたんじゃないかと思わせる。でも、「私は盾を捨て矛を取った、もはやあとには引けぬ」と言う兄カルナの最後の願いを聞き届ける…。カルナが自分を殺させるためにわざと「とどめ」と襲う振りをする直前にアルジュラの背に手をそっと当てていて、弟への想いがその一瞬に伝わってきて苦しい。

(そういえば、帝釈天が最初の頃にクンティ姫に要らぬことを吹き込んでカルナに出生の秘密を明かすのを止めなければここまですれ違わなかったんじゃないか?最強の武器を与えなければカルナの心も変わらなかったし…余計なことばかりしてないか、帝釈天様?)

最期に「私の選択は間違っていませんでしたか…ご期待に添えましたか…」「私は生まれてきてよかったのです…(か)…」と言って死ぬのがひたすら悲しい。死ななければ事が収まらないのなら、カルナはなぜ生まれたの、と悲しくなった。そう疑問に思いながら死んでいったのだろうか…。でもカルナがいたからズルヨウダは先んじて開戦せず、五王子が勝ってユリシュナが良い治世を行った。先んじて開戦していたらズルヨウダが勝って国は乱れたままだったろう。だから意味はあったのだ、と思いたい。
ズルヨウダの「カルナ、お主は生きよ…!」も素敵だった。あの願いが届かなかったことも悲しい。カルナとズルヨウダの二人はまだ輪廻の中にいるようだから、次の輪廻では幸せな人生を歩めていることを祈ってしまう。

最後の神々のシーンでは五兄弟の時代も終わって彼らも死に、孫の世代になっている、という描き方が無常感を強めていた。あんなに濃密な時間も悠久の刻の流れの中の一瞬に過ぎないのだ。私達の生きるこの時間も。

はー。ともかく素晴らしい舞台でした。何回も見たいのですが午前11時開演…歌舞伎昼の部の悩ましいところ。今月は国立に歌舞伎座新橋演舞場にと見たい歌舞伎がたくさん。七之助さんは夜の部も出ずっぱりですからね。幸せな悩みです。

11月衛星劇場 pickup

自分用、録画予定メモ。意外と来月は目的のものが少なく、かつ録画残したいほどのはなさそうだから解約してもいいかも?と思ったけど、盟三五大切、仁左衛門さんが三五郎の方!染五郎さんが八右衛門、7月大阪で松也さんがやってた役!けなげな従者!それはそれで見たいのう。うーむどうしよう。

 

◆大商蛭子島(1,6,28)
中村勘九郎 中村七之助

◆眠駱駝物語~らくだ(2,8,13)
市川染五郎

◆忍夜恋曲者~将門(10,27)
坂東玉三郎

◆扇獅子(9,17,29)
中村梅玉

◆沖津浪闇不知火~不知火検校(前編)(9,20)(後編)(10,21)
松本幸四郎 市川染五郎

◆新皿屋舗月雨暈~魚屋宗五郎(27)
尾上菊五郎 坂東玉三郎

◆通し狂言 盟三五大切(前編)<序幕・二幕目>(14,29)(後編)<大詰>(15,30)
中村吉右衛門(源五兵衛) 市川染五郎(八右衛門) 片岡仁左衛門(三五郎)
(2005年/平成17年6月・歌舞伎座)

◆菊晴勢若駒
中村七之助 中村勘九郎(十八世勘三郎
(児太郎、国生(現・橋之助)、宗生(現・福之助)が初舞台)

朧の森に棲む鬼@ゲキシネ

だいぶ経ってますが、ゲキシネで見てきました。ツイッターまとめつつ感想追記。

だんだん這い上がって、衣装も変わって悪さが露骨に出てきて色気も増してくるんです。最初からひどい奴なのは見えているのですけどね、人の女房売り飛ばしたり。

ライが最後に朧の森に取り込まれていく滝の場面。パンフで中島さんが、いのうえさんんがやりたいラストシーンがあると仰っていたのはこれなのですね。いやーインパクトありました。

ライがキンタにひどい扱いをしたとき、マダレがライに対して少し気持ちが違う方に行く瞬間の深みが凄い。後半、完全に決別するときの「らしくねぇなあ、妹助けるためにお前敵に回すとはな!」「お前に言われたから掘ったんじゃねぇ、物心付いた時から絡みついてんだよ、俺の運命の蛇はな!」のくだりも大好き。

でもよく考えると、それではあまりに自分の気持ちに近づき過ぎて演技と本気の境が混じってしまいそうだから、あえて自分らしくない「女らしくしなだれかかる」演技で騙そうとしたのかもしれない。

すべてが終わって、ツナの
「こんな激情に駆られることは もうないのだなと思っただけだ…」
という台詞が辛い。ライを殺すことだけが残された正義、と言い繕うツナを

「正義なんかじゃねぇ そいつは復讐ってんだよ!」

と嗤い

「旦那のことなんか欠片も思っちゃいねぇ、俺のことで頭がいっぱいだろう」「好きも憎いも同じことなんだよ!」

とのたまう、ライの言葉通りになってしまったような…。妹を見捨てないお兄ちゃんマダレがいるので死ぬことはないだろうけれど、なんだか心配なツナ様である。

 

あ、なかなか露骨なシーンがいくつかあるので苦手な方はそっと目を閉じましょう。もう少し描写控えめだと嬉しいけどこういうノリなんだろうな。ちょっと正面からのアノ絵は苦手であった。

でもキスシーンは色気たっぷりで最高。ツナ様の顎掴んで接吻してさらに顎をぐいと持ち直して深く口づけるところとか、私のツナ様に何すんのー!(え)と思いつつ理性が飛ぶかと。自粛せねばならないことを言いそうになるくらいな色気。そして全体的に悪い染五郎さんが存分に見れて大変満足でした!

衛星劇場でも放映してくれたので、録画がいつでも見られるのですよ…ふふふ…。

2017年10月5日 市川染五郎ディナーショー@雅叙園

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ツイートまとめ+ちょっと追記。

ディナーショーを始めた経緯は、敷居が高いと思われている歌舞伎をもっと知ってほしい、ということだったよう。そう仰るだけあって色々解説も挟みつつ盛りだくさんでした。(歌舞伎座に行くよりディナーショーの方が敷居高くないかな…?とおもったことはひみつ。どうなのかな、人によるかな。)

朱色の緒を締めて、叩く直前に緩めるタイミングが難しいのだとか。タイミングが早すぎたとき、遅すぎたときも実演してくださいました。ぴったり合うと綺麗に音が響いて違いがわかりやすかったです。

連獅子の流れで手獅子を使った踊りも披露。獅子に連なる赤い布が美しい。妙に赤が似合います、染五郎さん。後ろ姿で首に赤い布が巻き付いている瞬間、どきりとさせられました。

桜姫東文章を幸四郎さんが権助、染五郎さんが桜姫で共演した話。桜姫が襲われるとき、「父の顔がここ(すごい間近)にあって…」と。何をしてる親子なんだと思う(我に返る)こともあったとか(^^)

リンク先↓に丁度お二人の画像発見!クリックすると写真大きくなります。H12年ですから15年前?

葵上・隅田川|文化デジタルライブラリー

歌舞伎・鶴屋南北|文化デジタルライブラリー

色々な素踊りを見ながら、あの体躯はどうなっているのだろうと。舞踊を知らないので着物に隠された動きまではわかりません。ただ、芯がすっと一本通ってぶれないことだけはわかります。踊って、息が切れるのにすぐトークに映るのも凄いです。

◆質問コーナー

会場その場で手を挙げた方の質問に染五郎さんが答えてくださる時間が!

あんこの入っているお菓子でもいいから、もちょいスイーツらしいものを言いましょうよ(笑)

照れ隠し、ってのはご自身で仰ってました(笑)。間接的にでも娘にカッコいいて言われたら、世のお父さんがたは嬉しいよなあ。

染五郎さん本(染五郎超訳的歌舞伎)の猿之助さんとの対談でも、若さへの敵意?が現れていましたね(笑)

とはいえ高いので、思いきって行く!という感じではありますが、食事も和のフルコースで美味しかったです。献立とお料理の一部をご紹介。

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お酒飲まれる方ならアルコールも召し上がれますから、お値段も納得かなと思います。ぜひ♪

AMADEUS(アマデウス)

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衝撃の舞台。ただただ衝撃でした。
一晩たち、落ち着いてみても、うまく言葉では説明できません。
感覚をすべて埋め尽くされて、何かわからないもので塞がれてしまうほどの。帰路につきながら、しばらく呆然としていました。不思議なことに舞台の内容を思い返すわけでもなくただただ呆けてしまって。日常に回帰していくのに時間がかかる、という体験をしました。

その正体が何かと言えば、幸四郎さんの舞台における圧倒的な力なのだと思います。
脚本がいいとか、役者がうまいとか、演出が面白いとか、考える間もなくねじ伏せられてしまう。
勿論よい脚本なのでしょうし幸四郎さん以外の役者も素晴らしいのだと思います。でもそういうアレコレを考える前に、感じさせられてしまう。感覚を引っ張りだされてしまう。
あとは、モーツァルトの音楽、の魅力です。日常を生きるために閉じた感覚を開かせて舞台のすべてを受け入れさせるのに、なんと、有効、という言葉ではつまらない。雄弁、でも足りない。魅力的、ユーモラス、衝撃的、愛らしい、チャーミング、しとやか、心に響く、etc...ありとあらゆる賛辞の似合う美しい調べ、モーツァルトの音楽の力。

モーツァルトのオペラを知っていると面白い台詞もちょこちょこ出てきます。しかし、それはちょっとしたエッセンスでしかありません。くすっと笑えるかどうかというだけ。
知らなくても、最終的には幸四郎さんの舞台力とモーツァルトの音楽によって、あの不思議な感覚のところに連れていかれてしまうのだろうと思います。

 

誤解を恐れずに言いましょう。同じ時期に何回も通って見るタイプの作品ではありません、少なくとも私にとっては。
あまりにこの舞台が完成されているから、でしょうか。
舞台の成長を楽しむものではないのです。ただただ完成されたそれを拝受しにゆく。
そして、見るとあまりに自身の感覚を奪われてしまうからです。何回もこんな体験をしたら、たぶんどうかなってしまう。
(また再演のときはもちろん見に行くと思います。でもそれも、毎回、1回だけ。)

ぜひこの観劇体験を、みなさんもぜひ。機会が合いましたら。

記録用、キャスト表(チラシ裏)

(あとで追記 )


(自分メモ用に観劇後のツイートまとめ)

髑髏城の七人 ~風~

(2回目分追記。ツイッター+ネタとか増えた気がするセリフとか。)

ちょっと時間経ってますが、見てきたメモ。ネタバレしないと感想が書きにくくて、ツイッターでネタバレは申し訳ないのでこちらに。まだ見てない、これから見る方はそっと閉じてね。

ありえないくらい舞台に近い席で、もし鳥の殺陣をここで見られたら意識飛んでいたなと。歌舞伎なら花横みたいな、舞台中央から離れるけど花道に役者が来るとガン見出来る的ポジション。ここで無界屋襲撃を見ると一瞬ほんとに襲われてる現場に居合わせた気分になり怖かったです。

かつ襲撃シーンが今までにない演出。無界屋は門を閉じれば簡単には破れない作りという設定。その閉じた門をあえて開けて蘭兵衛を迎え入れたら、…というところに恐怖が増します。

冷酷な蘭丸 >>>> 蘭兵衛

今回の向井さん蘭兵衛は襲撃での殺戮を楽しむ蘭丸だったので余計に恐ろしかった。蘭兵衛である自分を完全に葬り去れる蘭丸。無界の里に未練はない。悲しみはひとさしもない。

蘭兵衛のときの存在感、カラーがもう少し出るとさらにいいなと。公演を重ねるうちに変わっていきそうなので、どんな蘭兵衛を見せてくれるかまだまだ楽しみです。

歌舞伎み溢れる捨之介

他に、歌舞伎!と思ったのは、天魔王のマスクを取って顔を見せて、あっ早変わり!というシーン。二役なのを楽しみにしてたけどそこは予想していなかったので、わ、やられた!って思いました。

 

がらんどうの天魔王

あ、口移しシーン、天魔王が蘭兵衛に口づけてから、改めて盃をあおり、覆い被さって口移ししていてびっくりしました。なぜ先に口づけた…!?と一瞬見間違えかと思ったくらい。襲われてる感も強し。殿を慕う蘭丸らしさを強く出すため…?いやー混乱した。→2回目見たときもそうだったので勘違いではないっぽい。天魔王が欲しいのは蘭丸、というのを印象付けるためでもあるかな。でもそれは天魔王の感情ではなく殿の感情、という気がします。

可愛い極楽太夫とやんちゃな紗霧

田中麗奈さんは可愛い系太夫ですね。戦う時の新撰組みたいななりが似合う太夫。だがアオの高田聖子さんのときの太夫っぽい演技/演出でそこはしっくりこない。ニンにないという感じかな。蘭兵衛とは仲間意識?と思いつつも太夫の方には恋心もあった模様。蘭兵衛の方は大事に思ってたけど恋愛ではなさそう、殿をまだ心の奥底で慕っているから。

無界の女たちを殺された悲しみがもっと伝わるといいが、早い段階で見たのでまだ少し板についてない印象。ラストシーンの去る場面はとてもよかった。あの場面は芝居が出来上がってる感じ。

→2回目見たときは、無界の女たちの名前を呼びながら髪の束を重ねていくところも、悲しみがひしひしと伝わってきました。とても良かったです。

可愛い系太夫だけどアカドクロと違って、紗霧とキャラ被ってなかったのが良いですね。岸井ゆきのさんの紗霧がさらにちっちゃくてすばしこくて、可愛いよりやんちゃな感じがあったからかな。側転したりと身体能力が高くて楽しい紗霧。

瞬尾

敵役では、毘羯羅の瞬尾、村木よし子さんがとてもよかったです。死ぬシーン、天魔王を支えてきてその意図に頷いて幸せに死ねる腹心の部下。見てる側は悲しいけれど、あの演出は今までで一番好きでした。殺されるけど不幸じゃない。ちょっとるろ剣の由美を思い出します。 

あと、たぶん安底羅の猿翁かな?可愛い猫(のぬいぐるみ)肩に乗せて出てくるのに萌えました。猫ですよ猫!そのまま戦うんですよ!オオアマがイルカしょって出てきた以来の衝撃だわ。

歌舞伎ファンとしては猿翁って役名にも反応しちゃいますけど、偶然ですかねえ…?

 

狸穴治郎右衛門、贋鉄斎

生瀬勝久さんの狸穴治郎右衛門がいい!やっぱこの方いいですねー!芝居が出来上がっていて安定感があります。どこを切り取っても違和感がないです。

あと無界屋で荒武者隊のダンス見て「我々は小劇場のオタ芸を見に来たわけではない」って~。小劇場ネタが入るとなんかうれしくなっちゃうのはなぜ。

ちなみに先日のくんろタイムは
「くんろい魚が…いっぱい…見てごらん…」て川を指差しながら(笑)

(2回目のくんろ)

最初、何言ってるかかなり意味不明でえ?って空気に(笑)


贋鉄斎、BGMにO mio babbino caro(私のお父さん)なのです、イタリアだからってなぜこのチョイス。しばらくはこの曲きくと桜の森を思い出してしまう。あと曲にひっかけて贋鉄斎が誰か(兵庫兄にだったかな)に「お父さん!」言うてましたぞ。捨之介には「今の名前は…L(エル)?」とか言うしね!デスノじゃないよ!躊躇なくぶっこんで来るなあ。

あと、初対面の兵庫に刀の扱いを叱るとき、怒るっていうより優しく諭す系に変わってて怪しさが増してたー!刀に謝らせる回数も増えてたような。


その他演出全般

役者の歌はなし、ダンスは少しあります。殺陣はやはり鳥のインパクトが強すぎて何者にも勝てません。動きを出すために回転舞台を活用して移動しながらの殺陣も多いのが新たな工夫?蘭兵衛さんはいっそもっと刀の殺陣を減らして鉄砲撃ちまくった方がよかったかも、2丁使いにするとか。当時の火縄銃じゃ現実的じゃないのでしょうか。

脚本はアオもアカも鳥も入っているし風オリジナルの部分も。二役Ver.なので台詞はアオの要素が強いような。裏切り渡京ではなく三五なのはアカっぽい、でもナルシスト(鏡が友達)設定ではなかった。かまいたち剣もアカ。初演、1997年版、ワカ、花は見ていないのでそこからのがあるかは不明。花見ておけばよかった、見比べたかったです。

(○○版の演出だね、と考えるの、歌舞伎の「○代目○○の型」だねというのと似ている、とふと思う)

一人二役のときは天魔王さまは捨之介と勘違いされるのがとぉっても嫌みたいですね。アオドクロでの「捨之介…?この私がか…!?」の一連の台詞が大好きだったのでそこが入っていてうれしい。一人二役だとやはり紗霧が「捨之介に裏切られた」感のリアリティが強くてショッキングで好き。「正体が知れたのでは都合が悪かろう、お主に変わってこやつらの首はねてやるわ」はなかったなあ。あれも酷くて好きなのですが。

捨之介が紗霧にべたべた触るところは「まだまだだな」的な表現、食べ頃発言ではなかったですね。「あと3年したらなんちゃらで大丈夫だ!」的なことは言ってました。あとね、触り方が染五郎さん捨に比べるとやらしくない(笑)。下心の(少)ない確認?そういえば無界の女たちにも色気振りまかないですね、風の捨之介。

さて、あと1回見に行けるので、その時にまた全体の芝居がどう変わっているかが楽しみです。

増えてた/変わってた台詞(たぶん)

(1)捨が正気を取り戻して、抱きつかれてべたべたして沙霧に傷のとこ殴られたあと、

捨「痛いのは生きてる証拠」

が追加されていた気がします。

(2)ラストシーン、沙霧が捨に抱きついて傷にあたって痛がって、さらに抱きつこうとして(捨)もういい、もういい、のあとに

捨「お前刺してんだぞ!」

沙霧「痛いのは生きてる証拠」 の台詞も増えてました。

(3)「生き地獄」→「涙の川」(かも)

無界屋に着いて太夫たちが去った後、太夫のことを捨が「生き地獄を見てきたって顔を」兵庫「生き地獄?」って表現していたのが、

捨「涙の川を渡ってきたって顔を~」

兵「涙の川ぁ?」に変わってた気がするのですが、風は元からかもしれない…記憶曖昧。戯曲読みたい。

 

今後も色々変わっていくんでしょうね。もう私は風を見られないのが切ない…皆様のレポでしのぎたいと思います。

(以下記録用、キャスト表)

読了メモ - 市川染五郎さん関連

自分用メモ。何読んだか忘れてしまうからね。こうしてみると、染五郎さんたくさん本出してらっしゃるなあ、監修のものもあるけれど。

高麗屋の女房 1997年発行 (藤間紀子著)

 

市川染五郎と歌舞伎に行こう! 2000年発行

 

すこぶる染五郎 2002年発行

 

瞳に「気品」を、心に「艶」を  2009年発行

 

 

歌舞伎のチカラ 2010

染五郎超訳的歌舞伎 2013

人生いろいろ染模様 2015年発行 

 

市川染五郎 人生いろいろ染模様・市川染五郎 (著) - 世界文化社|書籍・ムック

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これから読むメモ 

ハムレットはしなやかに舞う。 1999
27―市川染五郎 2000
キテレツ 2003
日本の伝統芸能はおもしろい〈1〉市川染五郎の歌舞伎 2002
歌舞伎(カブキ)  市川染五郎私がご案内します (児童書) 2006
染五郎と読む歌舞伎になった義経物語 2006
歌舞伎のかわいい衣裳図鑑 2008
歌舞伎のびっくり満喫図鑑 2010
新版 日本の伝統芸能はおもしろい 市川染五郎と歌舞伎を観よう 2015
バイリンガルで楽しむ歌舞伎図鑑 2016