お芝居つれづれときどき音楽

歌舞伎のこと、音楽のこと、いろんなこと、気の向くままによしなしごとを。

2017年8月納涼第1部@歌舞伎座

刺青奇偶

長谷川伸さんの戯曲が好きみたいだ。一本刀土俵入もすきだった。刺青奇偶、かなしいけれど好きなお話です。どうにもならない状況で、持ち金全てを与えてくれる人がいて、というストーリーも一本刀土俵入を思い起こさせる。

玉三郎さん演出とあって、七之助さんの演技に玉三郎さんの姿が重なる瞬間がありどきりとする。教えてほしい人には間口を広く教えて継承していくという玉三郎さんの言葉が、しっかりと実現されている。

七之助さんは美しい赤姫もよいけれど、冒頭のやぶれかぶれのときや、病に倒れたあとの姿の様になりよう。薄幸な役が大変似合う。

中車さんの半太郎はいい男!博打だけが玉にキズだ、ほんとに…。あらすじだけを読んだときは、なぜそこで最後に博打に走ってしまうのか疑問だったけれど、舞台を見ると心情がわかって少し納得。きっとお仲はまだ生きてる、最後間に合ったよね、ほんとに最後の最後の瞬間かもしれないけど、安心して逝けたよね、と祈るような気持ちになる。

勘三郎さんが「歌舞伎ッタ」だったか、何かの本で、でもお仲は死んじゃっているんだよねぇという趣旨のことを書いていらして、その結末は…といたくショックだったのだけど、七之助さんはインタビューで、生きていてほしいと答えていて、親子でも少し違うんだなぁ、そして後者だと思いたい、と思いながら見ました。

http://www.kabuki-bito.jp/special/welcometokabuki/69/no1.html

これ勘三郎さん玉三郎さんコンビ+仁左衛門さんのも見たかったなぁとしみじみ。

染五郎さんの鮫の政五郎親分は、真面目そうな人物像。仁左衛門さんはまた違うタイプの親分で描く気がする、とぼんやり思った。しかし見たことがないのでただの想像。見たい…(結論はそこ)。

 

玉兎

かわいい。かわいいしか言えません。よく一人で踊りきれますなぁ。

後見の方が何かのタイミングで、勘太郎さんと目を合わせて頷いたのが見えてきゅんとしてしまう。

 

団子売

勘九郎さんと猿之助さんの素敵な舞踊。この組み合わせで楽しくないはずがない。うまい。猿之助さんの女形姿、結構好きだなぁと思い始める昨今。立ち役もいいけど、女房役の色気が似合う。仲睦まじげな様子に「ご両人」とかかる。ご両人って素敵な言葉ですねえ。