お芝居つれづれときどき音楽

歌舞伎のこと、音楽のこと、いろんなこと、気の向くままによしなしごとを。

2017年8月納涼第2部@歌舞伎座

納涼が終わり夏が終わったところで2部の感想。 というより、夏の想い出メモ?

修善寺物語

ノーマークだった萬太郎さんの若武者ぶりがなんだか素敵。呑気なお坊様と好対称。新歌舞伎だからか立ち回りも殺陣っぽく迫力がある。猿之助さんの桂はいい色気のある女。そして勘九郎さんの義家、横顔が大変美しい。高貴なお役も似合うのですね。

姉娘の桂と夜叉王は、桂が死ぬ瞬間に初めて通じ合えたのではと。若い娘の死に顔を写し取ろうとする、職人でしかない父、苦しいながら顔をあげよと言われはっきりと顔をあげて死に様を見せる娘。なんと凄まじいのだろう。後ろで桂を支える妹は辛さに顔を背けている。そちらの方がよっぽど普通の感覚。常人には理解できぬ夜叉王の職人としての執念と、天上人に仕えて身代わりに死ぬことが本望と思う桂と。その激しい通じ合いは、普段可愛く思っている妹娘にも、弟子でもある娘婿にもできないものなのでは、と。

あの最後の場面があるからこの話は少し救われるというか…しかしすさまじい話。妻子もいる家が火事になったのを見て「これで本物の炎が描ける」と喜んだ画家の話を思い出した。調べてみたら、宇治拾遺物語の絵仏師良秀の話らしい。

http://www.nhk.or.jp/kokokoza/radio/r2_kokugo/archive/2017_kokusou_12_13.pdf

歌舞伎座捕物帖

理屈抜きにめちゃくちゃたのしい!見たのはA⇒A⇒Bでした。(ネタバレありなので、弥次喜多見てなくてシネマ歌舞伎(あるらしいとの噂)で見たい!という方は避けてくださいませ。)

ABで違うのは最後の方だけなのですが、天照な笑也さんが見られるのと化け猫がかわいいのでBが好きです(*´-`)

四の切の裏側まで&若手活躍、子役かわいいよね

劇中劇がふんだんに、若手役者+85歳の竹三郎さんで四の切を見られる楽しさ。笑いの場面になるまでは、きっちり本気で演じている。俳優祭のノリを思い出す。四の切の仕掛けを惜しげもなく見せてくれて楽しい。

鼓が鳴らないところで笑いが起き、あ、四の切見たことないひとも歌舞伎座にたくさん来てるんだな、すごいなと。かくいう私も2ヵ月前に四の切を初めて見た歌舞伎初心者なので。 こうして新しいお客さんが増えていくといいですね。

巳之助さんが1部とも3部とも全く違う、赤姫姿でドス聞いた声で喋る役でびっくり。幅が広いですねぇ~。

金太郎さんと團子さんの活躍もたっぷりと。かわいいかわいい。「真実はいつもひとつ!」って萌え死させる気ですか。コナンパロもっとやってほしい…。金太郎さんは声変わりにさしかかったようで、変わりきるまで舞台は大変でしょうね。團子さんの方がひとつ年上だけど声変わりはまだのような高い声。團子さん「武士にならなければ役者になりたかった」勘九郎さん「いい役者になったろうなあ」そして弥次喜多の「我が子同然」「親類同然」のお約束(*^^*)萌える…。

四の切のスタンバイ前の様子を猿之助さん自ら実演解説。「詳しいねぇ」って弥次さんに言われる(笑) 團子さん、四の切を「いつか私たちもやってみたい」猿之助さん「四の切はおめえにはまだ早えよ」とか「10年も20年も早え」って食い気味に(笑)(楽はうって変わって「教えてやろうか」だったとの情報!)二人の四の切、見たいですねぇ早く。團子さんが狐忠信なら金太郎さんが義経かな?たのしみー!

中車さんがしっかりおいしい役どころでなんだか嬉しかった。カマキリ、あと土下座は半澤のドラマのパロかな?ドラマ見ないからわからないけど、会場の雰囲気でたぶんそうかなと。幕や壁紙、壺までカマキリ紋!

勘九郎さんは予想に反して頭から出ててわあい!七之助さんはちょこっとだけ出て「次の仕事が」「もう帰るのか」で一緒に勘九郎さんも帰ろうとして、「棟梁!棟梁も帰るのか?」「桜の森に行かなくちゃあならないんだ」って声音が耳男に寄ってる。ああ楽しい!羽傘はアガサ・クリスティのもじり。

染五郎さんも行かなくちゃあならないけど、やじきた最後まで出るのよね勿論…。お疲れさまです。(楽では、俺も次の仕事があるんだけど的な染五郎さんのアドリブが入ったらしいです。)

役者じゃない役のお二人

門之助さんの義太夫がいい声でさすが!笑三郎さんも三味線を。

お二人、細かいところまできっちり芝居されてました。

天照は最強&アドリブ楽しい

Aの笑也さんは一瞬だったあああ。しかし町娘もなかなかお似合いではないですか。Bの天照大神バージョンはド派手&全能。だいすきだ!虎太郎さんの化け猫変化たのしー弥次さん喜多さんの後見というレアもまた(*´-`)

そしてちょいちょいアドリブ増えてくのは弥次喜多ならでは。 

1回目:「ま、た、ね」ってお蝶さんの真似して返してた

2回目:あああああー、って謎の奇声を上げつつ、振り返り、去って行かれた(笑)

3回目:奇声+「またね(奇声気味)」(ゆっくりではない)感じだった

 

謎解きBパターンでお蝶の風呂敷包みの中身が特別仕様。(他の日のBは何が入っていたのかな?)

まさかのぼんとボン吉ー!あれ知らない人には「ん?ぬいぐるみ??」て感じだったと思うけど、TV(スッキリ)見てたのでいやあ萌えた萌えた。

3回見てなんとか両方見られたけど、3回見て片方だけという方もいらっしゃった。シネマは両方…ならないかな?片方ならもう片方TV放映してほしいですねぇ。

 

あと一番パターンが多かったアドリブ、びっくり差し替え狂言案(笑)。

ワンピースに差し替えたら宙乗りに本水に…?

さて、10月のワンピース歌舞伎も楽しみですねぇ。