今さらながら去年11月の感想を。思い出しつつ。
昼の部
鯉つかみ
鯉つかみ。 #染五郎 さんと #児太郎 さんのいちゃいちゃがエロい。いや全然露骨ではないんだけど、色気だだもれ。美男美女カップル眼福。児太郎さんて案外背が高いんだなぁ。
— andante@稽古中 (@andante_presto) 2017年11月5日
早変わりも楽しい。一ヶ所いつ変わったのかわからなかったところがあった。やられた! pic.twitter.com/DG0Jo0Qpnn
舞踊の要素も多い演目でしたね。ちょうど、舞踊体験で振りの説明を受けた後だったので振りにも注目できて面白かったです。
奥州安達原
奥州安達原。親の敵討ちのためとはいえ舅を陥れる貞任て酷いーと思ってしまった(^_^;)
— andante@稽古中 (@andante_presto) 2017年11月5日
怪力(というイヤホンガイドさん解説)の貞任が幼い娘に追いすがられて振り払えないところ、義家の計らいで妻子と向かい合って親子の情が出るところ。ちゃんと人の情があるんだ、と。 pic.twitter.com/CQO6Pptu37
奥州安達原。お父さん許してあげてよ…!て思いながら見てた。けなげで利発なな子役可愛い。許したい母の #東蔵 さんが胸に迫る。厳しい武家の父の #歌六 さん、切腹の場面の覚悟、厳かさ、緊張感。会場がシーンとなる。
— andante@稽古中 (@andante_presto) 2017年11月5日
雪暮夜入谷畦道 直侍
菊五郎さんがめっちゃ格好よかった…!声がイイ…!堅気じゃない感じのお役がめちゃくちゃ似合う。惚れる。ただ、ストーリーはほぼ進まないので3つ目だと集中力が持たないかもしれません。 ちょっともったいなかったな。
夜の部
仮名手本忠臣蔵5、6段目
今夜は歌舞伎座夜の部へ。良い意味で重い。休憩のたびに脱け殻になる。簡単には言葉にできそうもない。
— andante@稽古中 (@andante_presto) 2017年11月10日
芝居を見に行っているというより、舞台の、役者の出すエネルギーを受け取りに行っているのかもしれない。ふと思う。 pic.twitter.com/9FcucdW7UE
仁左衛門さんの勘平を初めて見ました。ことばになりません。ことばにならないというのが主な感想です。
ゆるゆる思い出し。忠臣蔵5、6段目の秀太郎さんはどうみても置き屋のおかみさん(けっこう繁盛してる店)にしか見えなかった。先月は武家の女主人にしか見えなかったのに。空気感からがらりと変わる。これが役者の力なのだなぁ。
— andante@稽古中 (@andante_presto) 2017年11月14日
後半、浅黄色の衣装の美しさがまた悲劇を際立てています。最後のシーン、彦三郎さんの弥五郎が小さな声で「後のことは…」と言っているのが聞こえました。後のことは任せろ、なのか。仇討は必ず成し遂げるから、安心していけ、と。
新口村
扇雀さんの梅川の美しさと健気さ。平成中村座では封印切で忠兵衛の方をやってらしたので不思議な感じです。この方はほんとに兼ねる役者さんですね、どちらも本役という感じがします。今回の忠兵衛は藤十郎さん、11月の時点で85歳。その年齢まで舞台に立ち続けられることに驚きます。そして歌六さんの孫右衛門。顔を見たら我が子を捕えなければ養い親に申し訳が立たないという想いと、会いたい気持ちと。それを何とか叶えようと目隠しして触れさせることを提案する梅川、触れてしまえばもうたまらず目隠しを取る孫右衛門…。
幕が下りたあと、こんな一コマも。
新口村で前方の観客はすっかり雪を被っている。
— andante@稽古中 (@andante_presto) 2017年11月10日
休憩に入り、
「肩に雪が」
「あら…初雪」
初雪とはなるほど…!
なんとも風流な交わし合いが聞こえてきた。
そういえば扇雀さんも藤十郎さんのお子さんと知ったのがこのときのイヤホンガイドでした。鴈治郎さんだけだと思ってました。でも扇雀さんが扇千景さんのお子さんなのも、藤十郎さんと扇千景さんがご夫婦なのも知っていたので、なぜ線がつながらなかったか不思議です。
大石最後の一日
冒頭、囚われの身ながら染五郎さんの十郎左が風流にも花を活けています。その凛とした姿に釘付けに。(なぜか舞台写真はなかったですが。勿体ない)
大石最後の一日。仁左衛門さんが出てきてはっとする。
— andante@稽古中 (@andante_presto) 2017年11月10日
沙汰を告げ、幸四郎さんの大石内蔵助と視線を交わし合う。無言の間。無言の中になにかが充満しているような…気と気のぶつかり合い。
舞台の、劇場の空間を一人で支配できる役者が二人対面で並んだら、それはもう言葉で表せない異空間だった。
あの瞬間の感覚は忘れられません。
大石最後の一日は、たしか当時の幸四郎さん(2代目白鸚さん)が選んだ演目ということでした。いろんな意味を込めて選ばれた演目なのだなあというのが、台詞の端々に感じられます。
「身が一生の言葉はないか、あれば聞きたい」
「『初一念を忘るるな』と申します」
「内記、一生忘れないぞ」
「一同、名残惜しいのう」
幸四郎さん大石の器の大きさ、染五郎さん十郎左の若者ぶり、金太郎さん内記の気品。相手役の児太郎さんのおみのもすばらしかった。おみのが、自分の家を再興させないことが嘘を真実にすること、の意味が一度目はわからなかったのですが、二度目に見てようやく、十郎左が真実婚約者になったのなら、仇討に加担した者の関係者としてお咎めは免れないので再興はできない。また、十郎左との愛情が真実なら、別の婿を取って再興することもできない。ということなのかなと思い至りました。
ほんとうにいい芝居のとき、そしてそれを幸い良い席で見られるなら、イヤホンガイドも大向こうもいらないのかもしれない。
— andante@稽古中 (@andante_presto) 2017年11月10日
芝居の空気を全身で受け止めたくて、イヤホンはほとんど外してしまった。言葉の意味が取れないところもあったけど、それでも。
ガイドすら不要なら大向こうは言うまでもない。
11月歌舞伎座は吉例顔見世というだけであって充実したフルラインナップぶりでした…!普段なら真ん中に入るであろう軽めの舞踊もなく、円熟した芸を一身に浴びる、そんな11月でした。