はるばる京丹後まで行ってまいりました。どの曲も素敵ですが、雪と鉤簾の戸が特に好きでした。曲解説の入ったパンフがもらえるので、振り付けの内容理解にとても助かります。
口上
シルクロードと京丹後の絹とを繋げるお話。
アンティークの絹の絨毯を手に入れられたそうで、金色に輝くシルクを不思議に思っていたら、よい桑を食べた蚕が吐く糸は金色に光るのだと京丹後に来て聞いたというお話など。
あちらで見た文様がどう変遷して日本の文様になったのだろうと思いを巡らす様など、こころはいつも歴史を辿っていらっしゃるのだなぁ、と。
雪
拝見するのは3度目の「雪」、踊りの流れがわかってきて、回を重ねるごとに楽しみが増えます。どの瞬間を切り取っても美しい形の連続でため息…。
着物を払うと、零れ落ちる雪が見えるよう。その払う指先も美しい。
傘を思わず取り落とし、恋人を追い掛ける姿にはっと引き込まれます。哀しみの中で見送る表情。
鉤簾の戸
癪に嬉しき~からの艶っぽさ。相手の恋人は仁左様で幻影が…(*´-`)
癪を押さえてくれる男の手と自分の手が重なって、何も言わず二人で蚊帳を吊り、って…
子供は見ちゃいけないやつですね…意味を聞かれたら困るやつです。
銀地に三日月のが描かれた団扇が、角度によっては橙色の照明が反射して金色のお月様にも見えて美しいです。効果を狙ってのことか偶然かはわかりませんが。
黒髪
お姫様のかんざしで登場、はっと驚きました。もとは辰姫の話ということでお姫様のなりにしたのでしょう。衣裳は落ち着いた淡い桃色。
普通は芸者の姿で踊ることが多いらしいです。
見た目は可愛らしいのですが、切ない曲。かなしい。
由縁の月
打ち掛け、背に月の刺繍が印象的でした。
苦界と思っていたけれど思わぬ人に見受けされてしまい、愛しい人にも会えなくなって…と、美しい詞に哀しい曲。
昔を思い出すときだけ少し華やぐ表情が、また切なさを増します。
カーテンコール1度目、上下(かみしも)への一礼が下手に向いたとき、少しほっとしたような笑顔が印象的でした。
由縁の月の衣裳そのままに、その姿を見られるというのも嬉しい。
2度目のカーテンコールでは、後半哀しい曲が続いたなという心を見透かすかのように、傾城が打ち掛けを見せるときの斜めの立ち姿を決め、客席からどよめき。
夕霧の、傾城としての格がじわじわと滲み出る姿。本当に美しくありがたく。幸せなひとときでした。ありがとうございました。
その他メモ
- 行・帰りに峰山駅⇔会館の送迎バスあり。満席でもわりとすぐ次が来るので助かります。
- 帰路、高速バスなら予約したほうが吉。
- 帰路の丹後鉄道は自由席でも座れます。天橋立駅で立ち客が出る感じ。乗り換え後の特急も自由席着席OK。隣席が空く程度に余裕。
- 会場の椅子は横幅狭め。1列目から舞台への距離は広め。
- スーツケースは会場で預かってもらえる模様。
- 会場付近はコンビニなし、駅から10分くらいのところで離れている
- 唯一の食事処は去年は満席でお昼難民になったので、今年は別の駅近くで事前に食事を済ませました