https://www.nntt.jac.go.jp/opera/laboheme/
1幕は軽快な、ボヘミアンたちの掛け合い重唱が楽しいですね。この演目で最も有名であろうアリア「私の名前はミミ」はそこまでピンとこなかったのですが、3幕でミミが別れを告げるアリア「Donde lieta…」が素晴らしかったです。3幕から4幕のミミもとてもよかった。しっかりとした重い声・声量を持ったニーノ・マチャイゼが、病気で身体が弱ったミミという役柄どおりに声を抑えてか細く歌うとき、このミミのアリアはそういう声の人のためにあるのだなと感じました。
オペラ全編を通して「私の名前はミミ」のテーマが随所に流れるのも「プッチーニ節」を感じて、ああ、やはり好きだなぁと。
ところで「私の名前はミミ」の歌詞、なぜか今まで気づかなかったのですが、「詩というものが私を喜ばせてくれる」って、詩人のルドルフォに「あなたが好き…」と言っているようなものだったのだなと。
4幕はコッリーネの「古い外套よ」も、同じ部屋にいるミミとルドルフォを決して無視しない、歌いあげすぎない様がとてもよかったです。ただ今回のコッリーネ、哲学者のわりに1~2幕あたりの振舞いはちょっと落ち着きがない気もしました。もう少し他のメンバーと違う空気を纏っていてほしいところ。
ともあれ、3、4幕のすばらしさと切なさ、本当に幸せな時間でした。実は数年前に同じ演出版を見ていましたし、悲劇だし、今回見なくてもよいかなと思っていたのですが、行ってみてよかったです。また聴きたいですね。