お芝居つれづれときどき音楽

歌舞伎のこと、音楽のこと、いろんなこと、気の向くままによしなしごとを。

怖い絵展@上野の森美術館

急に美術館づいている今冬です。

混雑っぷりとお勧め時間帯

レディ・ジェーン・グレイの処刑

 

チャールズ・シムズ

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訂正、「ワインをたらふく飲む僕と君にこれらが何だというのだ」「そして妖精たちは服を持って逃げた」「小さな牧神」「クリオと子供たち」の4作品でした。最初の3つが好み。「ワイン~」は真っ赤な背景が印象的。

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「そして妖精~」「小さな牧神」は日常に紛れ込んだお伽噺のよう。

 

オデュッセウスとセイレーン


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セイレーンもとてもよかった。すらりとした美しい肢体。惑わせる歌を唄うので口をあいているところがまた異質な雰囲気を強めている。中央の男性がオデュッセウス?引きずりこまれそうなのを仲間の船員が帆に縛り付けて引き留めている。

 

大岡裁きの原型

 

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有名な大岡裁きの元ネタがソロモンとは知らなかった。こちらは「子供を二つに切ってそれぞれの女に分け与えよ」という、両方から引っ張って~の大岡裁きよりもだいぶ過激。

  

傍らの死


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意思を失い虚空を仰ぐ母親の身体、眠るような娘。虚無が漂う。部屋の奥にうっすらと見える、聖母子像らしき絵がまた哀しい。

ムンクの「死と乙女」もよかった。骸骨と乙女が絡み合う作品。

 

ソドムの天使、クレオパトラ


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ギュスターヴ・モローは2点。画像上が「ソドムの天使」、他に「トロイアの城壁に立つヘレネー」、どちらも大変好み。葉書や上の画像だと淡い色がほとんど出ていなかったのが惜しむらく。幻想的な雰囲気と妙な現実感の混ざった筆致。


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絵葉書の下はクレオパトラの死。死してなお美しい。布の質感のリアリティ。

 

怖い絵、とひとくくりだがいろんな種類の恐怖があったように思う。あまり怖くはない絵もあり。コンセプトはなんであれ、好みの絵にいくつか出逢えたので、よい展覧会でした。

もう少し混んでいなければ見やすいなあと。人気は企画が成功している証だから、いいことなのですけどね。