お芝居つれづれときどき音楽

歌舞伎のこと、音楽のこと、いろんなこと、気の向くままによしなしごとを。

絵本合法衢 一世一代の千穐楽

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4月千穐楽の夜の部。開演前から、最後だ、今日で終わってしまう、と緊張と動悸がしながら見始めましたが、一幕目の後半にはもう、いつものように舞台に引き込まれていました。大詰、閻魔様のシーンの幕が開いて、いよいよ終わってしまう現実を思い出して切なさでいっぱいに。頭上で合法の刀を受ける大好きな型も最後かとか、目を閉じて刀を両手で頭上にやって目を開く見得の格好良さとか、終わらないでと祈るような気持ちで食い入るように見ました。

大学様が刀を受け、もがき、とうとう倒れ、弥十郎と皐月に止めを刺される。あぁ終わってしまった。万雷の拍手の中で起き上がる仁左衛門さん。この演目に拍手を送れるのも最後。切り口上の「まず今日はこれ切り~」をこの演目で聞くのも最後。「今日は」と仰るけれどもう仁左衛門さんの絵本合法衢は二度と見られないのだと切なくなりながら、拍手を送り続けました。終わってほしくない、この時間と空間が。そう思い幕が閉じても拍手を送っていました。

正直、幕が再び開きはしないだろうと思っていました。もしかして、という気持ちもわずかにありましたが、仁左衛門さんがカーテンコールを好まないことを本や記事で読んだり、色々なお話を聞いていたので、ほぼないだろうな、と。それでも拍手をし続けていたかったのです。拍手を止めて劇場を出てしまったら本当に舞台の夢から覚めてしまう。夢から覚める時間を少しでも先に延ばしていたかった。終演後、急いで帰られた方々(遠征組の方もいらしたかも)以外は大多数の方が劇場に残って拍手を続けていたように思います。直後の終演アナウンスは拍手にかき消され、拍手のボリュームがずっと収まらずに、こうしてたくさんのお客様と一緒に拍手を送り続けられるしあわせと、終わってしまった切なさに浸っていました。帰りなさいという雰囲気になるまでは1秒でも長くそうしていたいと思っていました。

どれくらい拍手を送っていたでしょうか、孝太郎さんブログによると終演後5分ほどということでしたが、ゆっくりと幕が開き始めて客席からどよめきが。それでも油地獄の千穐楽の話を聞いていたので舞台上に仁左衛門さんがいないかもしれないと身構えていました。すると、舞台中央やや下手くらいにおひとりで座っていらして。登場してくださった!という喜びのあとに一瞬、カーテンコールを好まない仁左衛門さんはどういう気持ちでそこにおられるのか、間違っても無理に出てくださったりしていないか、と不安になりました。

が、その不安を吹き飛ばす素敵な笑顔、心からの笑顔…!演じ納めの最後の日に、大学之助様の拵えで役者・片岡仁左衛門として観客に向けてくださった笑顔に射抜かれて、しあわせいっぱいに。笑顔で左右に礼をされ、正面に向き直り「ありがとう」と祈るかのように手を合わせられ、最後に深々と礼。そして幕。感激で涙が滲みました。終わってしまう切なさを吹き飛ばすしあわせ。なんて幸福な時間に居合わせられたのでしょうか。すべてに感謝しかありません。ほかほかした気持ちを胸に、しかしそれでも離れがたくて、なるべくゆっくりと劇場をあとにしました。


帰宅して孝太郎さんブログの動画でカーテンコールの記憶を反芻ししあわせを噛みしめながら、その客観的な短さ(45秒くらい)に驚きました。現場にいた体感ではまるで刻がゆっくり流れたかのようにたっぷりと感じました。感激のあまりそう感じたのか、客席と舞台がひとつに結ばれたからなのか。舞台の魔法にかかったようです。
そうこうしていたら彌十郎さんブログにも更新が。切り口上で幕が閉じたあと、いつも通りに3人(仁左衛門さん時蔵さん彌十郎さん)で楽屋に帰り、いつも通りに仁左衛門さんの楽屋に挨拶に行かれ、そのときすでに仁左衛門さんは衣裳を脱がれていた、と。仁左衛門さんはカーテンコールを予定していなかったのですね…!それでも拍手に応えて衣裳を着直してまで舞台に出てくださった。なんてありがたいのでしょう。

孝太郎さんブログ「幕が降りてから五分後?」
https://ameblo.jp/takataro-kataoka/entry-12371426688.html
彌十郎さんブログ「熱いお客様」
https://ameblo.jp/yaju1956/entry-12371479235.html

一世一代の千穐楽に立ち会えた喜びを噛みしめながら、これからも舞台を見続けて参りたいと思います。心から、ありがとうございました。

蒼の乱@ゲキシネ

蒼の乱、映画館で見てきました。天海さんも松山ケンイチさんも早乙女太一さんも川原さんも出てて美味しい舞台!

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朝廷軍?の中にやたら殺陣上手い人がいると思ったら川原さんでしたー(><)
川原さんと早乙女太一さんが殺陣で切り結ぶの、ヤバい人対決でゾクゾクしました…!夢の対決ですねこれ…!やられて「お見事…っ!」て倒れる川原さん格好良すぎる。
太一さんと弟さんの友貴さんとの殺陣も凄い!!太一さんが二人いるような恐ろしく息の合った殺陣…最後スローモーションにしてくれるのありがたい。見えないんですもの。

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天海さんは本当に舞台上で空気を支配する人ですねぇ。画面からでもそれが伝わってきます。歌も男役トップらしい地声の響くいい声でうまい。

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蒼真の美しさに惚れ惚れし、将門御前になったときのカリスマ性、存在感にゾクゾクしました。将門小次郎よりも優れた将ということに説得力を持たせる立ち居振る舞い。

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蒼真にとってはある種の仮面なのかもしれないけれど、その仮面が恐ろしく似合っている。愛した男が敵に回っても、本当に愛したもののために揺らがない決意。

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松山ケンイチさんは、坂東武者の一本気な役柄だけあって勢いがあるのですが、勢い一辺倒になりがちなのがやや勿体ない。髑髏城風の捨之助のハマり具合、必要なところでほどよく力の抜けた良い演技を先に見てしまった分、期待度を高く持ってしまったのかも。4年くらい前の舞台なのでその分の若さゆえもあるかも。最後に自分を取り戻して覚悟を決めるところは格好よかったなぁ。あとは、もう少し前半にも蒼真と将門が愛し合っているとわかる場面がほしかったなあ。

常世王の平幹二朗さんがすごかった…!わずかな表情ですべてを伝える演技。この方、ワンピ歌舞伎でシャンクスやっている平さんのお父様だったのですね。2014年の舞台…81歳ですか??見えない…ほんとに見えない。50代くらいの方かと思って見ていました。

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ストーリー後半は、阿弖流為とかなり似ている印象。
地方で乱が起こり、都から討伐に出る。戦を終わらせるため、政治を改めることを約束させて敵の将が自らの首を差し出すも、都は約束を守る気などない。そこに最後ひと悶着あって、約束を一部守らせる。

いやはや、最後まで天海さん格好よかったなぁ…
将門の首を奪い返し、祟りを恐れさせる「将門御前」の仮面も。
その仮面も何もかも脱ぎ捨てて草原で空と風と草原の息吹を感じるラストシーンも…あのシーンは本当に、本物の空と草原がどこまでも広がっているようだった。シンプルな舞台装置がもちろんあるのだけど、なくてもあるように見えるくらい、天海さんの演技に引き込まれました。

カテコの最後、一人下手でスポットを浴びて挨拶。あの、腕で大きく綺麗に円を描く礼が美しくて。ほんとうに、舞台のひとだなあ。
広い劇場を支配する紛れもないスター。もっともっと、この方の舞台を見たくなりました。現在は修羅天魔の極楽太夫、そして夏が終わったら桜の森のオオアマ。楽しみです。

髑髏城の七人~修羅天魔~

四つ揃った仮面。
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さて、以下ネタバレありのざっくりした感想というかおもったことです~

見てない方は見てからでね~~ 
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3/19観劇直後の雑感

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4月衛星劇場pickup

録画用自分メモ。仁左衛門さん勘九郎さん七之助さん幸四郎さん猿之助さん。NINAGAWA十二夜が楽しみ!

※は以前に録画済。
◆ゆうれい貸屋(3)
中村七之助

廓噺山名屋浦里(4,10) ※
中村勘九郎 中村七之助 

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◆ゲキ×シネ『朧の森に棲む鬼』(5,21)
市川染五郎(現・松本幸四郎

◆NINAGAWA 十二夜(前編)<序幕>(後編)<二幕目より大詰>(6,13)
市川亀治郎(現・猿之助) 

米百俵(9,19)
市川染五郎(現・松本幸四郎

◆佐倉義民伝(11,24)
松本幸四郎(現・白鸚) 市川染五郎(現・幸四郎

◆ゲキ×シネ『髑髏城の七人~アオドクロ』(12,28)
市川染五郎(現・松本幸四郎

◆花魁草(16)
中村勘太郎(現・勘九郎)

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◆良弁杉由来(18,27)
片岡仁左衛門

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◆毛抜(19) ※
市川染五郎(現・松本幸四郎

ゲキシネが2本来たけどもう散々録画しちゃってるからなぁ。

2018年3月衛星劇場pickup

録画用自分メモ。仁左衛門さん玉三郎さん勘三郎さん七之助さん幸四郎さん猿之助さん他。
にざさまお誕生日にぢいさんばあさん…!保名ににざたま道明寺も楽しみです。

 

※は以前に録画済。

漢人韓文手菅始~唐人話(1,16,20)
中村七之助

◆刺青奇偶(2,22,26)
中村七之助 市川染五郎(現・松本幸四郎

スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース(4,31) ※
市川猿之助

七福神(5,16,27)
中村扇雀

◆ぢいさんばあさん(6,14)
片岡仁左衛門

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◆博奕十王(6) ※
市川猿之助

◆一條大蔵譚~檜垣・奥殿(7,23)
中村吉右衛門

◆保名(12,21)
片岡仁左衛門

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国性爺合戦 (前編) <序幕~三幕目>(後編) <四幕目>(12,27/14,28)
中村吉右衛門

怪談乳房榎(15,21)
中村勘三郎

◆菅原伝授手習鑑~道明寺(19,29)
片岡仁左衛門 坂東玉三郎(苅屋姫) 片岡秀太郎(立田の前)

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2018年1月高麗屋三代襲名@歌舞伎座

今さらながら、1月歌舞伎座の感想。ツイまとめ+勧進帳について感想を追記しました。

筋書き、グッズなど

昼の部

箱根霊験誓仇討

七福神

 

夜の部

勧進帳

山伏問答はもちろん迫力があるけれど、一番好きだったのは延年の舞。美しい。弁慶の六方の引っ込みは、イメージよりゆっくりなのだと知った。ゆっくりと力強く踏みしめて駆けてゆく。NHKの襲名特番で、引っ込んだ鳥屋の映像に思いを馳せる。力強く去った後の壮絶さ、お弟子さん?に倒れかかるように鳥屋の中で息を整える。 

染五郎さん義経の美しさは言わずもがな。花道、そして本舞台で弁慶に手を差し伸べるところ。

四天王は豪華メンバーで、ほんと強そうだなこの四天王、という迫力だった。

しかしなんといっても吉右衛門さんの富樫。この富樫の深み、決して通すまいとの迫力、しかし弁慶を慮って、明るみに出たときの死も覚悟しながら通す慈悲。富樫とはこういう人なのか。幸四郎さんが「叔父の富樫をたくさんの人に見てもらえるのが嬉しい」と仰るのも頷ける。この富樫を見られてよかった。吉右衛門さんの富樫と対峙してきた幸四郎さんが、4月名古屋で富樫をおやりになる。非常に楽しみです。

三人形

口上(千穐楽スペシャル)

 襲名の舞台、ひとつひとつ噛みしめて拝見したいと思います。

20180214幸四郎のコリャイイや話 ~幸四郎の告白~@歌舞伎座ギャラリー

ホワイトデーも近いので先月のバレンタインイベントを思い出しつつ。

動画でも流れてましたが、のっけから苺シャンデやお菓子を食べまくる幸四郎さん。銘菓幸四郎は「どういうものかお見せしないといけないですからね」って言いながら中身見えないようにぱくーって一口で食べて「あっ食べちゃった!」なんのギャグですか?(*´-`)

戸「食べながら喋れるってすごいですね」笑

そのうちくんちゃんが手作りチョコをおとーさんにあげたりするようになるんだろうか。幸四郎さん照れつつめっちゃ笑顔で食べるんだろうなぁ。とか妄想してほんと幸せになれるよーバレンタイン最高。

お返ししてなさそうな反応w 奥様が考えてお返し差し上げてるのかなー?

高麗屋の逸品、襲名記念写真集、演劇界の連載の宣伝「幸四郎スター千一夜」なども。(スターはほんとはタイトルに入ってない笑)

演劇界の担当の方も観客でいらしていて「なんで表紙じゃないの?」→先月の舞台のだから、とか「ほぼ関係者なのに一列目に座る度胸がすごい」とか、幸四郎さんにめっちゃいじられてました(笑)。3月の演劇界は幸四郎さんが表紙との予告どおりでしたね。

最後に幸四郎さんから歌舞伎座ギャラリーの宣伝もして終了。ホワイトデーも登壇なさる雰囲気で、まさか?と思ったら本当に、12月から4か月連続登壇ですね。TVカメラが入ってたからか、写真タイムはなしでした。

等身大フィギュアの行き先はまだ決まっていない模様。

戸「ご自宅に」

幸「家に置くには…実用性がないと…物干しにはならないし…なにか2wayできないかな」

お悩み中の幸四郎さんでした。ずっと歌舞伎座ギャラリーに置くわけには行かないのでしょうか?(^^)

襲名の舞台の合間に今回も楽しい時間を過ごさせて頂きました。ありがとうございました。